14歳から乗れるEV、人気が裏目に? 仏で免許不要のシトロエン「アミ」

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◆納品まで6~8ヶ月という人気ぶり
 シトロエンが2022年6月に50台限定で売りだしたアミ・バギーに至っては、通常のアミより2000ユーロ(約28万円)高い9790ユーロ(約136万円)という価格にもかかわらず、数分で売り切れてしまった。しかも、BFM TV(9/28)によれば、このアミ・バギーはネットの中古市場で2万5000ユーロ(約347万円)を超える値段で取引されているという。

 通常版のアミも、注文から納車まで約6~8ヶ月かかる人気ぶりを見せている(ネオゾーン、11/5)。

◆外国では郵便配達車などで利用
 欧州諸国のほか、モロッコやチュニジアなど外国での販売も展開されており、それぞれに好評を博している。ポルトガルの都市中心部やモロッコでは郵便配達用に用いられ、ギリシャのハルキ島ではパトカーに採用された(ル・プログレス紙、8/4)。

◆吉とは限らない若い世代への普及
 フランスの場合、一番多く乗り回しているのは若い世代である印象だ。実際、中学校や高校の周りに複数のアミが駐車しているのを見かけることもある。8時間の講習を受けているとはいえ、まだ中高生である彼らのなかには、自転車に乗る感覚でアミを乗り回すケースもあり、安全とは言い切れない。

 環境への影響も、一概に良いとは言えない。電気自動車は走行時には排気ガスを出さないが、工場での製造時にはCO2が排出されるし、寿命を終えた後のリサイクル問題もある。つまり、単に電気四輪車の数が増加すれば良いという話ではない。

 これまで子供の送り迎えや買い物などにガソリン車を使っていた層が、アミのような電気四輪車に乗り換えるのであれば、環境への好影響が期待できる。恐らくそれこそが、環境面での目標であったはずだ。しかし、実際に今アミを多く乗り回している若者は、もともと自転車やバスなどのエコフレンドリーな交通手段を使っていた層だ。そのため、アミの販売数が増えても、環境的には必ずしも好影響ばかりとは言えないのだ。

Text by 冠ゆき