「伝統破り」北米デビューのGRスープラ直4モデル 米メディアの反応は?

♦︎バランスに優れた大衆向けモデル
 直列6気筒の3.0Lモデルに対し、2.0Lは直列4気筒となる。その出力は最高258PSと、3.0Lの387PSには及ばない。スペックこそ譲ることになるが、それでも従来のスープラの枠を超えてベースモデルを設定した点は画期的だ。スープラといえば6気筒という暗黙の了解が成立していたが、これを破るのは北米では史上初となる。米モーター・トレンド誌(5月13日)は「大衆市場向けのバージョンを用意することはリスクのある試みであり、当該車のブランドイメージをき損する可能性がある」と懸念を示しつつも、「伝統破り」だとしてトヨタの挑戦を評価している。実際に試乗した感覚としては、シャーシのチューニングが施された結果、コーナリング時の安定感が従来モデルよりも向上しているという。

 Cネットは2.0Lモデルをいたく気に入った模様で、現行モデルの3.0L版よりもこちらの方に軍配が上がると述べている。パワーでは確かに劣るが、その分を「より良好なバランス、軽くなったウエイト、そして低価格」で十分にカバーしていると評価する。搭載のエンジンは3.0Lと同様、兄弟車であるBMW Z4でも採用されているものだ。0-100km加速は5.0秒と、直6モデルの3.9秒にこそ劣るものの、それでも十分な加速を確保している。

♦︎日本では秋登場予定
 パワートレインはターボチャージ直列4気筒エンジンと8速ATの構成で、0-100km加速は5.0秒、0-160km加速は13.1秒、最高速度は時速249キロとなる。3.0Lと比較すると、2.0Lモデルでは2気筒を削減した分だけ車体重量が軽量化されている。また、3.0Lではアダプティブ・サスペンション、およびアクティブ・ディファレンシャルが標準装備されているが、これらは2.0では省かれる。

 正確な燃費性能は未公表だが、3.0Lモデルよりも良好な数値が期待されており、この点も2.0Lモデル選択のポイントとなるだろう。カー&ドライバー誌が独自に行なったテストでは、総合値で11.4km/L、市街地で10.2km/L、高速で13.6km/Lとなった。市街地でわずかに劣った点を除き、新型3.0Lのカタログ値よりも良好なスコアを出している。

 2021年型スープラ2.0は、6月に北米で発売を予定している。日本での販売は今年秋頃となる見込みだ。

Text by 青葉やまと