麻でできた生分解性ワインボトル、仏に登場 製造・輸送でCO2削減

Green Gen Technologies

◆ガラスボトルよりCO2を出さない
 開発したのは、トゥールーズのスタートアップGreen Gen Technologiesで、研究に4年を費やした。原料の亜麻の入手には困らない。フランスは亜麻の生産が盛んで、世界の生産量のトップを占めている。亜麻の種は食用で、ボトルには種以外の部分を使う。

 麻ボトルは、CO2削減に大きく貢献する。まずは製造過程だ。同社の資料によると、ガラス製造には1500度の高温が必要で1トンのガラス製造に105㎏の燃料がいる。一方、亜麻生地を作るには低温ですむ。搬送時のCO2を減らすこともできる。麻ボトルは1本190gで、通常のガラスのワインボトルの平均重量500gの半分以下だ。資料内の国際ブドウ・ワイン機構(OIV)の統計では、2016年は世界の全ワインの42%(75億本)が国外消費され、もしこれが麻ボトルになったとしたら、375万トンものガラスを節約することになる。大量のガラスボトルを搬送するためのCO2が削減できることは目に見えて明らかだ。

◆フランスのメディアが注目
 同社では、「温度やバクテリアの状況によるため、このボトルが土の中で分解する日数については明確には言えないが、数週間以上で分解される。ガラスボトルがポイ捨てされれば、4千年もガラスのままの可能性があると言う専門家もいる」と説明する。

 同社は2017年末に正式に設立されたばかりだが、画期的なアイデアであるため、フランスでは方々のメディアから取り上げられている。最新情報がアップされている同社フェイスブックには地方局France 3 Midi-Pyrénéesが放映したニュースも出ており、アクセスは300万回を超えている。

 このボトルはワインだけでなく、ビール、蒸留酒、化粧品にも使っていく構想があり、将来はフランスだけでなく世界中に広げたいとのこと。日本でも流通する日がやってくるかもしれない。

Text by 岩澤 里美