日産、次期型「エクストレイル」の英生産を中止 「重要な存在」の決断に現地ショック

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 日産自動車は、イギリスで計画していたSUV「エクストレイル」の次期モデルの生産を取りやめた。合意なきEU離脱の可能性も否定できない混迷するイギリスにとっては、最悪のタイミングとも言える。日産工場を抱える北東部サンダーランドの町からは、失望と不安の声が聞かれる。

◆ブレグジットは生産撤回理由ではない、英メディア分析
 日産はエクストレイルと、キャシュカイ(日本名:デュアリス)などの小型SUVの生産をEU離脱後も継続すると2016年に英政府に約束していたため、今回の発表はイギリス国内では衝撃的に報じられた。その後、約束の見返りに8000万ポンド(約114億円、後に6000万ポンドに減額)を研究開発費として日産側に支払うという機密文書の存在も明らかになり、政府への批判も高まっている。日産側は、撤回の決定とEU離脱との関係はないとしているが、EU離脱の先行きが不透明なことが影響したという報道が出ている。

                                                                                                                 

 一方冷静なメディアは、事情はもう少し複雑だとしている。フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は、欧州日産のセールスとマージンは落ち込んでおり、日産本社はより利益の出る市場への投資を優先したがっていると述べる。イギリスで生産するはずだったエクストレイルは、おもにディーゼル車で欧州向けだ。よってディーゼル人気が急落する欧州では、この先の需要は細っていくという日産側の判断があったと見ている。

 さらに同紙は、欧州では新排ガス基準が施行され、製造コストが上がるため、自動車会社はコスト削減に取り組まざるを得ないと述べる。日産は、新型エクストレイルの製造は日本国内で行うと発表しており、サンダーランドに新ラインを設置するより、すでに製造設備がある日本で作る方が経済的だと同紙は説明している。

 エコノミスト誌は、欧州での新車登録は昨年13%も減っていると指摘する。カルロス・ゴーン氏が目指した数を売って稼ぐスタイルより、現トップの西川氏は、高い利益が上がる車を作る方向へシフトしたとし、ディーゼル車であるエクストレイルをイギリスで作ることは戦略に合わないとしている。さらに、合意なき離脱となれば、イギリスから欧州向けの関税は10%となるが、日本から欧州へは2月に発効した日欧EPAのおかげで、関税ゼロとなることにも言及している。

Text by 山川 真智子

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