日産、次期型「エクストレイル」の英生産を中止 「重要な存在」の決断に現地ショック

emirhankaramuk / Shutterstock.com

◆日本式で英進出 いまや立派な地元企業
 国内市場で急成長し、日本の自動車メーカーの超効率的なジャストインタイム生産システムを欧州に輸出しようとしていた日産は1986年に、サンダーランドに工場を構えた。インデペンデント紙によると、もともと北東部は、炭鉱や造船で栄えた地域だが、古い産業の終焉とともに経済も衰退した。地元の期待を背負って稼動した工場は、初年度は500人の従業員で5,000台製造という規模でスタートした。そして2015年には生産は47万6,589台を記録し、現在は6,700人を雇用。サプライチェーンや関連産業も含めれば、さらに4万人の雇用を支えている。新型エクストレイルの生産が始まれば、生産は60万台を超え、雇用も7000人以上となるはずだった(インデペンデント紙、BBC日産サンダーランド・ホームページ)。

◆地元はがっかり 巨大貿易圏脱退で取り残される可能性も
 日産の発表にサンダーランドの関係者の気持ちは複雑だ。元英国日産のCEO、イアン・ギブソン氏は、衰退の後の成功をもたらした日産は、人々の意気込みや士気という点で、地域にとって心理的に重要な存在になっているとBBCに話す。従業員は有能なだけに、どんな状況下でもがんばってほしいとエールを送っている。

 日産のサプライヤーである企業ニフコに見習いとして入社し、社長にまで登り詰めたマイク・マシューズ氏は、自動車製造だけでなく、人材育成という面での日産の貢献は大きいと述べる。ここで育った何千人ものスキルのある若者がさらに産業のすそ野を広げていったとし、日産のような企業の生産や雇用が、徐々に国外に出て行くことの影響を心配している(インデペンデント紙)。

 BBCによれば、日産は労働組合側に対し、現在製造している車種の製造は引き続き行い、雇用は守られると説明している。しかしエコノミスト誌は、今後生産移転の動きが自動車業界で出てくれば、EU離脱の条件がどうなろうと、やはり大型の貿易圏に属さないイギリスが選ばれることは少なくなるだろうと述べ、離脱後の英自動車産業の未来を案じている。

                                                                                                                 
Text by 山川 真智子

Recommends