“ビットコインの父”、別人だった!? 本人は全面否定、弟はメディアに激怒

 ニューズウィーク誌が、ロサンゼルス郊外在住で日本生まれの「ドリアン・プレンティス・サトシ・ナカモト」氏(64)こそ、インターネット仮想通貨「ビットコイン」の創始者「中本哲史」だと報じた件で、メディア全体の報道も沸き立っている。

 フォーブス誌はすでに同記事を偉業と称えていたが、一方で信ぴょう性を疑う声や、そもそも報道すべきことではなかったとの意見も多い。

【ドリアン氏は否定】
 報道を受けて各紙の記者がドリアン中本氏の自宅に押し寄せた際、ドリアン氏は昼食をおごる条件で、AP通信記者1人だけと話すと宣言。2人は寿司屋に寄った後、AP通信支社に消えて行った。そしてAP通信は、ドリアン氏が繰り返し、ニューズウィーク誌記事を否定したと報じた。

 ドリアン氏は、記事が報じた学職歴などは正しいが、ビットコインとは初めから何の関係もなく、そもそもビットコイン自体知らなかったと主張している。APは、ドリアン氏が何度か誤って「ビットコム」と言ったと報じている。

 インタビューされていたビットコイン開発者ら(彼らも「中本哲史」本人と直接話したことはない)のことも知らず、パソコンは持っているがウィルス掃除が面倒になったのでインターネットに繋いでいない、という。さらに、ビットコインを発明できる技術的能力があるかという質問に、「能力?あるでしょうね。でもプログラマなら誰でもできるんじゃないですか」と答えたという。

 また、ニューズウィーク誌記者が自宅を訪問した際、警官立会いのもとで行った会話内容さえも否定しているという。APは、ドリアン氏の英語は完璧ではなく、そのせいで誤解が生じた可能性は大いにあると述べている。

【それどころか「本物」も否定】
 さらにニュージーランド3ニュース(APとクレジット)は、なんと3年前から動きがなかった「本物」のアカウントから、「私はドリアン中本ではありません」というメッセージが出されたことも報じた。ただし専門家らによると、それでも間違いなく本物とは断言できない。本物なら自身の口座に保有するビットコインを動かして見せるか、本物の持つ電子署名をメッセージに付けることができるはずだという。

 本物はかつて、コミュニティ上で身元を隠すことに非常に執心した人物で、「彼がもう一度出てこようとするなら、それは軽く、ビットコイン創業以来最も注目すべき事件となるでしょう」と評されている。

【「犯人捜し」はやめよ】
 また同ニュースは、ビットコイン界では概ね、創業者の「犯人捜し」には関心が薄いとも報じている。ちょうどニューズウィーク報道当日、テキサス州で開催されていた大会でも、ほとんど話題にならなかったようだ。

 ビットコインは匿名性を根本思想とするだけに、関係者らは「誰も背後に何者がいるかではなく、これからの話をしていました」「ビットコインの作成者(が誰か)が、我々がそれを使える能力に関わるというなら、ビットコインは技術目標を逸したということです」などと語っている。そもそも匿名であろうとする創業者を探そうとすること自体「個人情報保護への露骨な侵略」だと、反感があるとのことだ。

 またビットコイン関連ニュースのニュースBTCは、ドリアン氏の弟・アーサー氏が、過熱報道によって平穏を損なわれていると、SNSサイト『レディット』上で憤慨していることを伝えた。それによるとアーサー氏は、おそらくはニューズウィーク記事を書いた女性記者を指して、「本物のビッチ」などと非難しているという。

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Text by NewSphere 編集部