アフリカに無料ロシア語講座 ロシアが進めるソフトパワー戦略

Vyacheslav Prokofyev, TASS / Kremlin.ru

◆ロシアのソフトパワー戦略
 2022年の2月にロシアがウクライナに侵攻し、戦争が続くなか、ロシアは経済的にも外交的にも欧米諸国から孤立している。一方で、プーチン大統領はBRICS諸国との連携を強め、中国やアフリカ諸国を味方につけるような働きかけを進めてきた。アフリカ6ヶ国に20万トン以上の穀物を出荷したり、民間軍事組織ワグネルを中央アフリカやマリなどに配置するといったような事例がある。今後、ロシア語教育のほかに、ロシア留学に対する奨学金プログラムを拡大させる計画もあるようだ。

 他方、アフリカ諸国も、ロシア・ウクライナ戦争に関して、必ずしも欧米諸国と同じ立場を取るのではなく、ロシア側との関係性も維持するような中立的な姿勢を保ってきた。アフリカ諸国としては、自国の発展のためには、パートナーシップの選択肢を広く確保しておきたいという狙いがある。また、旧ソ連がアフリカの国の独立に間接的に関与したという歴史的背景もある。

 若者に対する教育というソフトパワーを活用して、アフリカにおけるロシアの存在感を高めつつ、孤立の回避を狙うロシア。この戦略は、ロシアとアフリカ各国の新たな経済交流のきっかけになるのだろうか。アフリカ各国はロシアに取り込まれるのか、もしくは中立的な立場で影響力を発揮し、欧米対ロシアの緊張を緩和することができるのか。未来は、アフリカの若者たちの自律的な判断に委ねられているのかもしれない。

Text by MAKI NAKATA