トランプ再選なら日米関係はどうなるのか?

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 世界情勢において来年、2024年は選挙イヤーとなる。1月中旬には台湾で次の指導者を選ぶ総統選挙が行われるが、台湾総統の任期は4年なので、欧米との関係を重視する蔡英文現政権の後継者が勝利するのか、もしくは中国との関係を重視する国民党が政権を奪還するのか、それによって台湾をめぐる情勢は変わっていくだろう。3月にロシアで行われる大統領選挙は事実上プーチン政権のプラス6年を承認するだけのイベントだが、それによって正当性を得たプーチン大統領はウクライナ戦争で士気をさらに高めることだろう。

 そして、最大のポイントは11月のアメリカ大統領選挙であり、ここでバイデンが勝つのかトランプが勝つのかで2025年以降の世界情勢は大きく変わることになる。仮にトランプ政権が復活すれば日米関係にはどんな影響が出てくるだろうか。

◆トランプの親友となった安倍元首相
 2016年秋のアメリカ大統領選挙では、ポスト・オバマの命運をかけたヒラリー・クリントンとトランプの激しい戦いが展開された。当時、多くの日本人はクリントンが勝利すると考え、また日米関係を考えればクリントンが望ましいとの意見が根強かった。選挙戦の時から、トランプは「不法移民への取り締まりを強化する」「メキシコとの国境沿いに壁を作る」など激しい主張を繰り返し、トランプが大統領になったら日米関係はどうなるかと危ぶむ声が聞かれた。そして、実際にトランプが勝利した際、多くの人々が不安を口にした。

 しかし、その不安や懸念をすぐに払拭したのが安倍元首相だった。トランプの勝利後にアメリカを訪問した安倍元首相は、ニューヨークにあるトランプタワーで初めて会談し、お互いの趣味であるゴルフの話で盛り上がり、トランプに金色のゴルフクラブをプレゼントした。その後も両者は日米ゴルフ会談を繰り返し、日本はトランプアメリカと親しい関係を作ることに成功した。トランプに外交の舞台でお友達という存在は少なく、親友は安倍元首相だけだったと言えよう。

Text by 本田英寿