欧米の関心が再び中東へ、ロシアと中国は何を考えているのか?

イスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマスの軍事衝突をめぐる安保理会合(16日)|Craig Ruttle / AP Photo

 パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスが10月7日、イスラエル領内へ数千発のロケット弾を発射して以降、ハマスとイスラエルの武力衝突が激化している。ハマスやパレスチナの武装勢力のメンバーたちはイスラエル領内に侵入し、境界付近で行われていた野外コンサート会場を襲撃し、260人あまりが犠牲となった。また、130人あまりが人質としてガザ地区に連行され、ハマスはイスラエルの対応次第では人質を殺害すると警告。人質には外国人も含まれている。これまでの双方の死者は4000人を超え、欧米人のほかアジア国籍者など外国人の犠牲も広がっている。この問題は長期化の様相を呈している。

◆ロシアは今何を考えているか
 欧米諸国がイスラエル支援に回るなか、ロシアは双方に自制を呼びかける程度にとどめている。とどめているというか、深入りしたくないと言った方が適切だが、今プーチン大統領は何を考えているだろうか。

 現在ロシアはウクライナ戦争で一進一退の攻防を続けているが、来年2024年の国防費は23年比で約7割も増額されるとみられ、来年さらに攻勢を仕掛ける可能性がある。プーチン大統領も来年の攻防を考えているだろうが、厄介になるのがやはり欧米の存在だ。

 しかし、現在、欧米諸国の関心は再び中東に集まっており、ウクライナへの関心が低下している。欧米諸国の間では「ウクライナ疲れ」も広がっており、プーチン大統領としては欧米の関心が中東に集まり、ウクライナの優先順位が低下することを狙っている。プーチンはまさに今を好機と捉えているだろう。

Text by 本田英寿