「経済的威圧」にどう対処すべきか 日本企業に求められること

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◆中国による経済的威圧にどう対処するか
 岸田首相は10月、「経済的な依存関係を武器化している」と名指しは避けつつ中国への懸念を示し、同盟国や友好国とエネルギー安全保障や半導体・医薬品などのサプライチェーン強靭化を進めていく方針を示した。

 現在、日本企業に求められるのは中国への依存度を極力下げ、欧米だけでなく、「グローバルサウス」と呼ばれるインドや東南アジアなど新興・途上国との経済関係を強化していくことだ。今後、国際社会におけるグローバスサウスの存在感が飛躍的に高まり、多くの国々が経済発展を遂げることが予想される。中国が突如、日本産水産物の輸入を全面的に停止し、水産業者の間で大きな影響が出たように、一国への依存は経営的に大きなリスクとなる。よって、グローバスサウスなどへの関与を強化することでリスク分散を図ることが重要となる。いつ、どのような経済的威圧が仕掛けられるかは誰にもわからないが、経済的威圧に対処する上で重要なのは、貿易相手の一極化の回避、貿易相手の多角化である。これが経済安全保障上、最も重要となる。

Text by 本田英寿