日本はグローバルサウスにどのような姿勢で臨むべきか 意識すべき「当事者」としての立場

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 米中対立や台湾情勢、ウクライナ戦争など、世界では大国間の揉め事がヒートアップしている。日本は地政学的にもそういった揉め事に巻き込まれやすい立場にあり、台湾有事や先端半導体などをめぐって、米中対立の当事者のような立場にある。今後も日本は大国間対立の当事者のような立場に置かれ、難しい外交の舵取りを余儀なくされることだろう。一方、そういった大国間の揉め事に、東南アジア諸国連合(ASEAN)やインド、アフリカ、中南米などの「グローバルサウス」と呼ばれる国々は不満や警戒感を強めている。

◆大国間対立へ不満や警戒感を強めるグローバルサウス
 グローバルサウスの国々の間では大国たちへの不満や警戒感が広がっている。今年5月の先進7ヶ国(G7)広島サミットに参加したブラジルのルラ大統領は、「グローバルサウスはウクライナ戦争を平和裏に終結させたいが大国はやる気がない」「ウクライナを支援するアメリカはロシアへの攻撃に加担している」「G7サミットでウクライナ問題は議論するべきではない」などと大国への不満をぶちまけた。

 また、今年のアジア安全保障会議でも、インドネシアのプラボウォ国防相やフィリピンのガルベス国防相らが、米中対立を新冷戦と呼び、米中の経済デカップリングやロシアの孤立など大国間をめぐる諸問題に懸念を示した。アフリカの首脳たちからも、「大国がアフリカを地政学的な戦場にしようとしている」「アフリカは新たな冷戦の温床になりたくない」など同様の意見が聞かれる。

Text by 本田英寿