台湾総統・米下院議長会談、中国の対抗措置に見るその思惑とは

会談後に共同発表する台湾の蔡英文総統(左)とアメリカのマッカーシー下院議長(4月5日)|Ringo H.W. Chiu / AP Photo

 さらにポイントになるのは、どの規模の対抗措置を取るのかということだ。ここでは3つのケースが政治的に考えられ、その1つはカリフォルニアでの会談ということで昨年8月に比べてトーンを落とした「比例的な対抗措置」だ。仮にこのシナリオであれば、習政権には「過剰に緊張を高める必要はないがけん制はする必要がある」との思惑があると想像できる。2つ目は、昨年8月と同じレベルの軍事的対抗措置で、そこには「カリフォルニアだろうが台湾だろうが関係ない」という中国側の強い意思が考えられる。

 そして最も警戒すべき動きは、昨年8月を超える「過剰な対抗措置」だ。仮にこのシナリオになれば、中国側には「台湾問題では絶対に譲らない」「むしろこれを口実にさらに軍事的にけん制する」といった、より強硬な思惑があることが想像できる。このシナリオ通りになれば、我々は台湾有事という問題をもっと現実的に考えていかなければならないだろう。

 いずれにせよ、カリフォルニアでの会談で中国がどのような姿勢、行動を示すか、これは今後の台湾情勢を見極める上で一つの試金石になるだろう。

Text by 本田英寿