習政権3期目、難しくなる中国進出企業の立場 現実味増す台湾侵攻

Athit Perawongmetha / Pool Photo via AP

◆難しくなる日本企業の立場
 この前提に立てば、日本企業はこれまでのように中国でビジネスできなくなる可能性が想定される。台湾有事となれば日中関係が悪化する可能性は高く、経済や貿易の分野で摩擦や障害が拡大する恐れがある。

 この可能性を懸念してか、たとえば自動車大手のホンダは8月、国際的な部品のサプライチェーンを再編し、中国とその他地域のデカップリングを進める方針を明らかにした。また、最近でもキヤノンや日立製作所はこういったリスクをヘッジするため、中国にある拠点やサプライチェーンを国内に回帰させたり、第三国へ移転させたりする方針を明らかにした。

 一方、逆に高まるリスクとは裏腹に中国依存を高める企業もある。ニトリホールディングスは11月、来年末までに中国国内で展開する店舗数100にまで拡張する計画を明らかにし、村田製作所も江蘇省にある工場で445億円を投じて生産棟を新たに建設するという最大規模の設備投資を発表した。

 中国は日本にとって最大の貿易相手国であり、日本企業のなかには中国市場から脱皮できない企業も多いことだろう。しかし、上述のようなリスクは高まってきており、今後は脱中国を図る企業とそのまま残り中国依存を高める企業との間で大きな開きができるだろう。

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Text by 本田英寿