習政権3期目、難しくなる中国進出企業の立場 現実味増す台湾侵攻

Athit Perawongmetha / Pool Photo via AP

 中国の習近平国家主席は10月の共産党大会で、中華民族の偉大な復興に向けて2035年までに社会主義現代化を確実にし、2035年から今世紀半ばにかけ中国式現代化に基づき社会主義現代化強国を建設する方針を明らかにした。また、台湾について完全な統一は必ず実現しなければならないし、間違いなく実現できると自信を示し、平和的な統一を堅持するが武力行使を決して排除しない意思も明らかにした。

◆習氏の狙いとは
 この発言からは次のような習氏の考えが想像できる。まず、確実に米国をライバルと捉え、欧米の発展モデルとは違う形で大国化し、米国を追い抜こうとしている。すでに中国の経済力は米国の7割にも成長しており、今後10年くらいで並び、追いつくとも言われる。

 そして、アジアにおける覇権を握ろうとしている。以前、習氏はアジアの安全保障はアジア人で作るべきとの認識を示したことがあるが、これは明らかに米国を排除した考えであり、終身政権への道を開いた習氏は、米国排除のアジア秩序を目指した行動を強化してくるだろう。

 そして、これに絡んで台湾問題を考えれば、台湾有事はこれまで以上に現実味を帯びてきている。今回の共産党大会でも台湾の独立阻止が党規約に盛り込まれたが、台湾を核心的利益と位置づける習氏は3期目で台湾への攻勢をいっそう強めてくるだろう。米国にとっても台湾問題は近年質が変化している。台湾はこれまで政治的には地域問題だったが、米国や欧州、オーストラリアなどを含め民主主義と権威主義との戦いの最前線というグローバルな問題になってきている。

Text by 本田英寿