バイデン・習会談に見る今後の米中関係 関係改善の兆しと変わらぬリスク

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 米中関係が冷え込むなか、米国のバイデン大統領と中国の習国家主席が14日、インドネシア・バリ島で会談した。バイデン氏が大統領に就任してから両者が対面で会うのは今回が初めてとなった。米中の首脳会談は実に3時間に及び、両者は米中両国の違いを乗り越え、競争が衝突に発展することを避ける責任を共有し、対話の継続と関係の改善に取り組む考えを示した。

◆中間選挙を乗り切ったバイデン
 米中首脳会談直前、バイデン大統領は中間選挙を何とか乗り切ることに成功した。選挙前は共和党優勢とも指摘され、仮に中間選挙で共和党が圧勝していれば、トランプ前大統領の勢いが増し、バイデン政権の残り2年の国家運営は劣勢を余儀なくされるだけでなく、中国がその隙をついて台湾問題や海洋覇権などで現状変更の試みを強化するシナリオも想定された。

 習氏はおそらくそのシナリオも視野に入れて中間選挙の結果を注視していただろう。バイデン大統領にとっては内心助かったというのが本音かもしれない。中間選挙で勝って首脳会談に臨むとの負けて臨むのではまったく心境が異なる。今回の米中会談で、中国側から関係の改善に取り組む姿勢を導き出した意義は大きい。バイデンにとっては「いいことづくし」と言えるだろう。

Text by 本田英寿