東京にも中国の「闇警察署」? 世界54ヶ所に設置とNGO報告

Lindsey Parnaby / PA via AP

◆明らかなウィーン条約違反
 中国は1961年の外交関係に関するウィーン条約に署名している。この条約は、「いかなる状況に置いても、該当国の許可なく、他国の領土で警察活動を行うことはできない」と規定するものだ。

 オランダ外務省は10月末、オランダに公的な連絡のないまま設置されたこれらの警察署は、ウィーン条約に違反するという見解を示した(フランス・アンフォ、10/27)。

 スペイン、カナダ、アメリカなどもセーフガード・ディフェンダーズの報告書内容を重く見て、詳しい調査に乗り出す構えだ。また、アイルランドは、首都ダブリンにある施設の即時閉鎖を中国に強く求め、同施設は10月27日に閉鎖された(ユーロニュース)。

 ただし、中国は外国での警察活動を否定しており、これらの施設は「外国在住の中国人向けサービスセンター」に過ぎないと反論している。

◆反体制派の中国人への脅迫
 中国の反体制派である王景宇(Wang Jingyu)は、SNS上で中国政権の批判をした後オランダに避難した人物だ。同氏は、オランダに逃れてからも中国警察に追跡され、2022年初頭にロッテルダムにある「中国警察署」から電話を受けたと証言している。この電話では、「本国での問題を解決するように」と帰国を促され「(中国在住の)両親のことを考えるように」と諭されたという。さらに、中国大使館の前で抗議活動を行った後に殺しの脅迫を受け、偽の爆弾予告に名前を使われるなどの被害が重なった。それらすべてが中国警察の仕業だと考えていると明かしている。(ジェオ誌、10/27)

◆東京にもあるとされる「中国警察署」
 日本も例外ではない。セーフガード・ディフェンダーズの報告書によれば、東京にも同様の「中国警察署」が置かれているとされる。

 中国では9月2日、オンライン詐欺など特定の犯罪に関して、中国国外の中国人も取り締まり対象とした法律が成立。12月1日から施行される。この法律によって、世界中の中国反体制派を国内に呼び戻すことはさらに簡単になるかもしれない。

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Text by 冠ゆき