ウクライナ、穀物2000万トン滞留のなか収穫期に 輸出できず、貯蔵施設もなく

小麦の実り具合を確認する農家の男性(ドネツク州、6月21日)|Efrem Lukatsky / AP Photo

◆代替ルート模索 ロシアは封鎖緩和を示唆
 黒海を通れないいま、ウクライナは他国の黒海沿岸の港の使用や、バルト海、アドリア海経由の輸出ルートを探している。しかし、どこを使うにしてもまず穀物を陸上、または河川を使って輸送しなければならない。だが陸上輸送では、インフラが不十分で国家間のつながりがないため渋滞や遅れが生じているという。(Vox)

 鉄道利用では、旧ソ連地域のウクライナの軌間が、欧州で一般的に使用されているものより10センチほど広いことがネックになっている。ウクライナの列車がポーランドとの国境に到着すると積み替えの必要があり、コストと時間がかかるうえ、積み残しが出ることも問題になっている。ドナウ川を使っての穀物輸送はこれまでほぼ経験がないため、積み荷をさばききれず時間が非常にかかるという。(Vox)

 結局最も良いのは黒海ルートの再開だ。ロシアは欧米の制裁を緩和する代わりに封鎖を緩和する可能性を示唆しているが、これを飲めば戦争が原因で起こりつつある食糧危機を欧米のせいにしようとするロシアの戦略にはまることになる。また、取引が成立したとしても海域の機雷撤去に数ヶ月かかるうえ、ロシアが約束を破ってオデーサが攻撃される危険性も高まると懸念される。(Vox)

◆輸出に明るい兆しも 問題は時間とコスト
 代替ルートの模索が続くなか、ウクライナの動物飼料用穀物1万8000トンを積んだ船がスペイン北西部の港に戦争勃発後初めて到着したという明るいニュースも報じられている。トラックでポーランド北西部の港まで輸送し、ドイツ北部の港に寄港しスペインに向かうバルト海ルートが利用された。(AFP

 ドイツのオズデミル農相は、ウクライナからの代替ルートは確立されつつあるとし、EUの援助でさらにルートを増やしていきたいと述べた。しかし、黒海に比べ費用は格段に高く時間もかかると指摘しており、問題解決の難しさを示唆した。(ドイチェ・ヴェレ

【関連記事】
アフリカで食料価格上昇、飢餓危機が深刻化 ウクライナ戦争で加速
迫る食糧危機、ウクライナ穀物輸出めぐり攻防 米軍トップ、武力による黒海封鎖解除は「ハイリスク」
中東、アフリカで深刻な小麦不足の懸念 ロシア・ウクライナに大きく依存

Text by 山川 真智子