インドの勝利? ロシア産原油を割安購入、精製してEUに販売
◆精製すれば産地特定困難 インドぼろ儲け
フィナンシャル・タイムズ紙(FT)によれば、インドの精製業者は安価なロシア産原油を利用し、ロシアに制裁を科しているEUなどへのディーゼル用の軽油輸出を増やそうとしている。つまり、これまで欧州がロシアから直接購入、またはロシア産原油から精製していた軽油を、インドが代わりに供給するというわけだ。ロシア産原油のディスカウントと、欧州で高騰している軽油のマージンの両方から大幅な利益が上がることになる。
しかしアメリカはロシア産の購入を制限するようインドに圧力をかけているため、インドの輸入量の増加は、潜在的な米印の摩擦の原因になっているとFTは指摘する。アメリカと欧州の同盟国は、購入カルテルを形成するなどしてロシア産原油の価格を抑え、ロシア産が国際市場に供給され続ける道を模索している。それにより高騰する原油価格を抑えて、結果的にロシアが石油から得る収入を減らす狙いだ(AP)。
一方インドの輸出団体は、ロシア産を買うのは欧州の軽油需要を埋めるためだと主張し、実際のところ多くの問い合わせが欧州から来ていると述べている。エネルギーコンサルタント会社ライスタッド・エナジーのアナリストは、原油が精製システム内で処理されれば、世界のあらゆる国のあらゆるグレードのものが混ざることになり、インドから輸出される軽油の分子がどこから来たかを区別することは基本的に不可能だと指摘(AP)。産地ロンダリングとも思えるインドの精製品への対応の難しさを示唆した。
◆インドは勝者だ! 地元紙が政権を称賛
一方、与党インド人民党に近い独立系右派メディア、スワラジャは、ロシアへの制裁から距離を置く現政権を称賛する。ウクライナ危機により世界中でインフレに拍車がかかるなか、インドはロシアからの石油輸入を大幅に増やし、エネルギー権益の確保に動いたことで、物価の上昇を低く抑えることができたと指摘する。
欧米の対ロ圧力が強まるなかでも、着実にロシア産原油の輸入量を増やしていることは、インドはそれぞれの事情に合わせて対処すると西側に念を押したジャイシャンカル外相の決定的な勝利に等しいと主張。ユーロ圏がロシア産エネルギーとのデカップリングの準備を進めるなか、今後インドは中国と並んでロシア産原油の新たな買い手の一角を担う立場になる可能性があるとした。原油高によるインフレが世界で猛威を振るうなか、この勝利はモディ政権にとってもっと評価されてもよいものだとしている。
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