インドの勝利? ロシア産原油を割安購入、精製してEUに販売

グジャラート州ジャムナガールの石油精製所(2021年6月)|Reliance Industries Limited in Jamnagar via AP

 ウクライナ侵攻をめぐる制裁措置として、EUやその同盟国はロシアからのエネルギー輸入を削減し、アジア諸国にも購入量を増やさないよう呼びかけている。しかし大幅なディスカウント価格で売られるロシア産原油のアジアへの輸出はここ数ヶ月で増加しており、とくにインド向けが急増している。

◆原油価格高騰の恩恵 ディスカウントでも利益大
 フィンランドの独立系シンクタンク「Center for Research on Energy and Clean Air(CREA)」によれば、5月の輸出量が減ったにもかかわらず、ロシアはウクライナ侵攻後の100日で960億ユーロ(約13兆円)の化石燃料輸出による収入を得ている。ロシアの軍備増強と侵攻を可能にするカギとなっており、連邦予算の4割を賄っているという。(AP

 2月末のウクライナ侵攻以来、世界の石油価格は高騰。ブレント原油やほかの国際的に取引される原油が1バレルあたり約120ドルなのに対し、ロシアのウラル産原油は30ドルから35ドルの大幅値引きで提供されている。そのため中国やほかのアジア諸国へのロシア産の出荷量はここ数ヶ月で増加した。なかでも急増しているのがインド向けだ。輸入量でみれば、インドは中国の4分の1程度だが、2021年全体で1200万バレルだったロシア産の輸入は、2022年はすでに6000万バレルに達している。(同)

Text by 山川 真智子