ロシアの制裁回避を助けるインド 原油購入倍増、二国間貿易拡大へ

Manish Swarup / AP Photo

 ロシアへの経済制裁が強まるなか、インドはロシア産原油の輸入を強化し、各種物資の輸出を再開している。同盟国として共通の利益を追求した結果だが、欧米による制裁の実効力低下が懸念されている。

◆侵攻後、原油の輸入を拡大
 ロシアによるウクライナ侵攻が始まった2月下旬以降、インドはロシアの代表的な原油であるウラル原油を数百万バレル規模で購入してきた。ブルームバーグ(4月20日)は、インドがアメリカからの警告に反し、「ロシア産原油の購入を倍増させている」と指摘している。ウクライナ侵攻が3ヶ月目に突入するのを尻目に、「あらゆる主要な油種を買い漁っている」と記事は述べる。

 原油だけでなく、侵攻を受けて一時停止していたその他品目の輸出入も、両国間で再開する見通しだ。専門家は英デイリー・エクスプレス紙(4月20日)に対し、茶、米、果物、コーヒー、海産物、菓子など主要な品目で輸出がすでに再開したと述べている。インドのある大手米輸出企業は、ロシア向けにコンテナ60基分の米を発送した。業界関係者は同紙に対し、二国間の貿易は今後さらに拡大し、より多くの品目がロシア向けに輸出されるようになるだろうとの予測を示している。

 また、ブルームバーグによると、制裁により欧州などからの医療機器の輸入が減ったことから、ロシアはインドからの輸入を増やそうとしている。両国の医療機器企業は22日に会議を行い、その方法について話し合う予定だ。インドは、ロシアが国際的な制裁を受けているなか、現地通貨を使用してロシアと取引できるメカニズムを策定しており、ロシアへの輸出を増やすことを望んでいるという。

Text by 青葉やまと