強まるロシアへの経済制裁、効果はあるか 抜け道も拡大

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 ロシアが2月24日、ウクライナへの侵攻を開始したが、ウクライナ軍の能力を過小評価し、思ったように軍事行動が進んでいないようである。そして、プーチン大統領にパーキンソン病の疑いがあると指摘されているが、仮にそれが事実であればウクライナ情勢について理性的な判断ができず、思うようにいかない戦火に苛立ちを強め、今後民間人が犠牲になる行動がさらにエスカレートする恐れがある。そのようななか、欧米諸国を中心にロシアへの経済制裁がますます強化されている。これによって暴走にも見えるロシアの行動を止めることができるのか。

◆強化されるロシアへの経済制裁
 欧米諸国によるロシアへの経済制裁が強化されるなか、とくに米国は積極的だ。米国の石油大手エクソンモービルはロシア極東サハリンにおける石油や天然ガスの開発事業から撤退することを明らかにした。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、ホワイトハウスがロシアへの経済制裁を強化することに配慮した措置だとみられる。米国のIT大手アップルもロシア国内での自社製品の販売を一斉に停止すると発表し、マクドナルドやスターバックスも同様の措置を発表している。

 また、バイデン大統領はロシア産の石油や天然ガスの輸入を禁止すると発表した。これまでバイデン政権が発表してきた経済制裁では最も踏み込んだものだが、米国のロシアへの依存度はわずか1%程度で、ロシア経済に打撃を与えるものにはならないだろう。ちなみに、3月になって実施された世論調査によると、ロシア産原油の輸入を禁止すべきかとの問いに対して市民の8割が禁止すべきと回答したとみられ、こうした国民感情がバイデン政権を後押ししている。バイデン政権は今年11月の中間選挙での苦戦が予想されているが、ロシアへの強硬姿勢によって支持率が回復傾向にあり、ロシアへの強硬姿勢を堅持することだろう。

Text by 和田大樹