クアッドから見えるインドの思惑 日米豪との共通点と相違点

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 4ヶ国は今回、今後5年間で6兆円規模のインフラ支援・投資で合意したが、これはまさに中国が進める一帯一路に対抗するものになることは間違いなく、すでに中国は強く反発している。対中国という文脈では、4ヶ国は行動をともにしやすい。

◆日米豪とインドの相違点:対ロシア
 一方、ロシアを名指しで非難しなかった背景には、日米豪のインドへの政治的配慮がある。インドは経済や武器供与などでロシアと伝統的な友好関係があり、欧米主導の対ロ制裁にも加わっていない。日米は対ロシアでインドも同調するよう求めたとみられるが、まずはクアッドの結束を維持、拡大することが重要なので、クアッドの分裂を懸念する日米はインドが抱える事情を考慮し、クアッド4ヶ国での対ロ非難を避けた形だ。

 そのようななか、ロシア産原油の購入抑制を求めるため米財務省の担当次官補がインドに向かったように、米国としては今後世界経済で存在感を示すようになるインドを何としても自らの陣営に呼び込みたいようだ。今後のクアッドの機能性はインドの行方にかかっていると言えるだろう。

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Text by 和田大樹