ロシアの制裁回避を助けるインド 原油購入倍増、二国間貿易拡大へ

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◆制裁の弱体化に懸念
 インドが供給再開に踏み切ったことで、ヨーロッパを中心とした制裁の実効性が希薄となる懸念がある。エクスプレス紙は「インドはまた、西側の制裁による影響を緩和するうえでウラジミール・プーチンを助けている」と指摘する。イギリスのジョンソン首相は20日から2日間の日程でインドを訪問し、21日に両国の安全保障の強化と自由貿易協定に関してモディ首相と会談を行う。

 ロシアに対して中立的なインドの姿勢が会談の「障害」になる可能性があるとの指摘もあるが、ロイターは、ジョンソン首相はこの会談で、インドがロシア産の原油・防衛装備への依存を減らすことについて、支援を申し出るだろうとしている。

 インドは原油の輸入を通じ、ロシアと良好な関係の維持を図るだけでなく、直接的な経済利益も視野に入れている。ブルームバーグは、欧州諸国が輸入規制へと動くなかで、今後ロシア産の購入希望者にとってさらに低い価格で入手できる可能性があると報じている。こうした情勢に加え、インドの国営石油企業は公開入札よりもさらに好条件での取引を目指し、個別交渉による取引を進める意向だ。

◆半世紀来の依存関係
 インドは、ソ連時代以来、ロシアとは関係が良好で、互いに深い依存関係を築いてきた。インドは中国やパキスタンとの国境紛争を抱えており、国連での拒否権を有するロシアを味方につけておくことに利がある。兵器についてもロシア依存が強く、インドが保有する兵器の3分の2はロシアから輸入したものだ。見返りにインドは、ロシアによるウクライナ侵攻を非難する国連決議への投票を棄権し、ロシアに制裁を課していない。

 世界的な経済制裁の潮流をよそに、インドとしてはロシアとの良好な関係を維持したい思惑があるようだ。

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Text by 青葉やまと