ロシア非難の国連決議に賛成しなかった40ヶ国の背景

Seth Wenig / AP Photo

 ロシアによるウクライナ侵攻によって、ロシアへの国際社会の風当たりが強まるなか、国連総会の緊急特別会合は3月2日、ロシアによるウクライナ侵攻を非難する決議を賛成多数で採択した。賛成に回った国は欧米諸国を中心に141ヶ国に上り、2014年2月のクリミア侵攻の際に採択された非難決議(100ヶ国)から大幅に増加した。当然ながらロシアの侵攻は国際法違反であり、人道的にも許されるものではない。一方、この結果を眺めると、筆者には極めて複雑化した世界が思い浮かぶ。

◆賛成に回らなかった国は40ヶ国に及ぶ
 これまでのところ、これに関する日本のメディア報道は賛成が141ヶ国に及び、ロシアの孤立が鮮明になったという報道だ。確かに侵攻以降、先進国は足並みを揃えるように対ロ経済制裁を強化し、世界ではロシアを批判する反戦デモが拡大し、ロシアの孤立は鮮明になってきている。それに照らせば、賛成が141ヶ国に達したということは決して驚く数字ではないだろう。

 しかし、世界を客観的に見るのであれば、賛成に回らなかった国々の思惑にも着目する必要があるだろう。今回の決議で棄権に回ったのは35ヶ国にも上り、五十音順に、アルジェリア、アンゴラ、アルメニア、バングラデシュ、ボリビア、ブルンジ、中央アフリカ共和国、中国、コンゴ、キューバ、エルサルバドル、赤道ギニア、インド、イラン、イラク、カザフスタン、キルギス、ラオス、マダガスカル、マリ、モンゴル、モザンビーク、ナミビア、ニカラグア、パキスタン、セネガル、南アフリカ共和国、南スーダン、スリランカ、スーダン、タジキスタン、ウガンダ、タンザニア、ベトナム、ジンバブエとなる。反対したのは、ロシア、ベラルーシ、北朝鮮、エリトリア、シリアとなった。

Text by 和田大樹