戦争犯罪でプーチン起訴の可能性はあるのか? ロシア軍のウクライナ攻撃

怪我をした妊婦を運ぶ救急隊員とボランティア(ウクライナ・マリウポリ、3月9日)|Evgeniy Maloletka / AP Photo

 アメリカのブリンケン国務長官は3月23日、米政府の公式見解として、ロシア軍がウクライナで戦争犯罪を犯しているとの認識を示した。戦争に関与していない民間人への攻撃や無差別攻撃などは、国際法で禁じられている。ロシアのプーチン大統領やロシア軍中枢部を国際司法裁判所で裁くことは現実的に可能なのだろうか。

◆戦争犯罪に該当する行為とは
 戦争ではあらゆることが許されるとも誤解されがちだが、明確な国際ルールが存在する。英BBC(3月29日)は、「想像に反するかもしれないが、赤十字国際委員会が述べている通り、『戦争にもルールは存在する』」と指摘する。ジュネーブ条約など各種の国際法や協定において、民間人への攻撃は認められておらず、民間人の生存の基盤となるインフラを破壊することも禁じられている。このほか、対人地雷、化学兵器の使用が国際法違反となる。ロシア軍は病院や集合住宅など民間施設に攻撃を仕掛けているほか、北東部ハリコフの街では広範囲に飛散し殺傷力の高いクラスター爆弾が使用されており、意図的な民間への攻撃とみなされる可能性がある。

 国際刑事裁判所のカリム・カーン主任検察官は米CNN(3月23日)に対し、「この点に関して法は明確だ。民間人を意図的に狙う行為は犯罪であり、民間施設を故意に攻撃することも犯罪だ」と説明している。また、在キエフ米国大使館は侵攻開始からほどなくして、「原子力発電所への攻撃は戦争犯罪である」と述べ、「プーチンがヨーロッパ最大の原子力発電所を爆撃したことで、彼の恐怖支配はさらに一歩進んだ」と非難した。

Text by 青葉やまと