危機感募らせる台湾、自衛隊・米軍への期待が低下 ウクライナ情勢で

台湾・新竹県の軍事訓練センターにて訓練を受ける新兵(2013年4月22日)|Chiang Ying-ying / AP Photo

 ロシアによるウクライナ侵攻から1ヶ月となるが、欧米から軍事支援を受けるウクライナ軍の抵抗もあり、ロシア軍の進軍は思ったように進んでいない。プーチン大統領も焦りや苛立ちを隠せないようで、劣勢が顕著になるにつれ民間人への無差別攻撃だけでなく、化学兵器の使用、ひいては核の使用のハードルがますます下がることが懸念される。そのようななか、ウクライナ紛争を鏡とし、警戒感を強めるのが台湾だ。ウクライナ紛争により台湾市民は警戒感をいっそう強めている。

◆中国への警戒心を強める台湾市民
 台湾の民間シンクタンク「台湾民意基金会」が最近公表した世論調査結果によると、台湾有事に対して日本の自衛隊が参戦すると回答した人が43.1%、参戦しないと回答した人が48.6%となった。ウクライナ侵攻前の昨年10月に実施された同調査では、自衛隊の参戦を信じる人は58.0%だったことから14.9ポイント減少したことになる。一方、米軍の参戦を信じる人は34.5%、信じない人は55.9%となったが、昨年10月に実施された同調査では米軍の参戦を信じる人が65.0%だったことから30.5ポイントも急落したことになる。

 また、中国による台湾侵攻があった場合に台湾が独自で対応しなければならないと懸念する人が59.7%、台湾のみでは中国による占領を防げないと考える人も78.0%に上るなど市民が中国への懸念を強めていることが明らかになった。

Text by 和田大樹