反難民のハンガリー、ウクライナ難民を積極受け入れ 対応の差に批判も

ウクライナ避難民を手助けする警察官とボランティア(ハンガリー・ザーホニ、3月5日)|Darko Vojinovic / AP Photo

 インフォ・マイグランツによると、シーヤールトー外相は「不法移民」と呼ばれる人たちはすべて締め出すという姿勢に現在も変わりはないと述べた。シリアなどの戦争や紛争から逃れて国境にたどり着いた人々の多くを「不法移民」と捉えており、ウクライナからの難民とでは比較にならないとしている。「不法移民」は攻撃的な行動をとる傾向があり、インフラを壊し警察を攻撃することを経験からよく知っていると主張。対照的に、ウクライナからの難民は当局に協力的でマナーも忍耐力もあるとしている。

 英インデペンデント紙は、オルバン首相の積極的なウクライナ難民受け入れは、4月に控えた総選挙への対策ではないかとしている。以前とは違って、難民がハンガリー人を脅かすと警告する政治広告や、ライバル政党が外国人にハンガリーを乗っ取らせてしまう、などといったあからさまな非難も見られない。一般のハンガリー人は今回の難民を歓迎しており、社会的、政治的な風向きの変化を意識してソフト路線に転じたのではないかと見ている。

◆欧州人は上級難民? 差別は続くのか
 難民に対するトーンがかなり変わったのは、オルバン政権だけではないとインフォ・マイグランツは指摘する。ブルガリアのラデフ大統領はウクライナからの難民はこれまでの難民とは違い「欧州人であり、知的であり、教育を受けた人々だ」と述べた。

 EUの内相らは、ウクライナ難民に一時的な居住権を与える計画を全会一致で支持した。ウクライナで居住資格、または難民資格を持つ人にも適用され、最長で3年間、雇用、社会福祉、住宅へのアクセスが与えられるという(アルジャジーラ)。

 インフォ・マイグランツは、難民もグループにより扱いが違うのかと問う。国際移住機関のビトリーノ事務局長の「人種、民族、国籍、移住資格に基づく差別は容認できない」という言葉を引用し、対応の差を批判した。

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Text by 山川 真智子