推計23兆円とも…謎に包まれるプーチン氏の資産 資産凍結の効果は?

Sputnik, Kremlin Pool Photo via AP

 ロシアのウクライナ侵攻を受け、西側諸国はさまざまな制裁をロシアに科し、プーチン大統領の個人資産凍結もその一部となっている。一説にはプーチン氏の資産は世界一とされるが、その額は誰も正確に把握していない。国外に巧妙な手段を用いて隠されていると見られ、権力による蓄財が指摘されている。

◆国内では慎ましさを印象づける 実際の資産状況は真逆か?
 プーチン氏の個人資産の正確な額や置かれている場所などはほとんど知られていない。2016年に国際調査報道ジャーナリスト連合が発表した「パナマ文書」によれば、プーチン氏の資産のほとんどが不動産と見られるが、紙の文書による痕跡はほぼ残されていないという。(CNN

 書面上、プーチン氏は慎ましやかな官僚に見えるとCNNは述べる。2018年に提出された公式の所得申告書には、サンクトペテルブルクにある74平方メートルのマンション、ソ連時代の自動車2台、オフロード車1台の所有の記載があった。年収は約14万ドル(約1615万円)と発表されている。

◆取り巻きが富を築き隠す いまや世界有数の資産家
 CNNは、実際にプーチン氏の資産を追跡することは不可能に近いと述べ、世界のエリートの個人資産を調べるフォーブス誌でさえできていないとしている。プーチン氏の資産は、取り巻きによって組織された複雑な金融スキームの背後に隠されており、正確な額の把握は困難というのが大方の見方だ。

 「パナマ文書」「パンドラ文書」などのリークされた文書には、オフショア銀行口座やオフショア企業のネットワークを通じて資金を隠す富裕層に関する情報が含まれている。プーチン氏の場合は、深いつながりがあるロシア人たちが富を築き、プーチン氏の家族がその恩恵を受けているようだとタイム誌は説明している。CNNも、家族や友人と関連がある豪華なヨットや不動産などは知られているが、プーチン氏本人に直接関係するものではないと指摘している。

Text by 山川 真智子