「弾圧者」中国にジハード組織はどうでるのか 今後の関係を考える

新疆ウイグル自治区カシュガル市の建物|Jonathan_Densford / Shutterstock.com

 これまでの声明を網羅すると、欧米諸国と比べ、中国が声明で取り扱われる回数は圧倒的に少なく、標的としての優先順位も欧米ほど高くはないといえる。だが、ウイグルの問題もあり、ジハード組織から見ると中国政府は弾圧者というイメージが強く、対立軸にある存在であることは間違いない。

◆中国の対外進出は標的となるリスクを高める
 対立軸にあるからとはいえ、ジハード組織が今後対中テロに集中し、9.11同時多発テロのように中国中枢を狙ったテロを計画、実行する可能性は低い。現実的に起こり得るのは、ジハード組織が対中聖戦を強めるのではなく、一帯一路など対外進出を強化する中国に対し、現地でテロという形で抵抗するというシナリオだ。このシナリオはすでにパキスタンで長年起こっているが、中国がタリバンと関係を強化し、アフガニスタンへの関与を強めれば、パキスタンでの二の舞になるだろう。国連の統計では500人あまりのウイグル系武装勢力がアフガニスタンで活動しているとされており、中国としてはタリバンと関係を強化することで武装勢力を弱体化させたい狙いもあるだろう。今後、この問題は中国にとってさらに厄介な問題になる可能性がある。

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Text by 和田大樹