中国がタリバンに接近する2つの理由

タリバンのバラダル師(左)と中国の王毅外相(右)(7月28日)|Li Ran / Xinhua via AP

 タリバンが実権を握ることになった。タリバンは諸外国と良好な関係を構築したいという姿勢を示しているが、依然としてテロの温床を懸念する欧米諸国の対応は極めて消極的だ。一方、中国はタリバン政権との関係構築に積極的で、中国の王毅外相は7月28日、タリバンナンバー2のバラダル師と天津で会談し、アフガン情勢の安定や米軍撤収後の行方について緊密に意見交換している。中国のタリバン接近の背景には何があるのか。

◆経済的利権と一帯一路
 まず、中国にとって以前のガニ政権よりタリバンが良かったというわけではない。タリバン政権の復活を心から望んでいたわけではなく、ガニ政権が崩壊してタリバンが実権を再び握ることになったので、現実的に動いていこうというのが本音だろう。中国が現実路線を突き進む理由は2つある。

 まず、内戦や紛争のイメージばかりが先行しているが、アフガニスタンはリチウムや鉄、金、ニオブ、水銀、コバルトなど鉱物資源が非常に豊富で、その規模は1兆ドルを超えるとも言われており、中国は多額の経済投資をすることでそれを獲得する狙いがある。これまでアフガニスタン政府のもと中国はそれを進めてきたが、タリバン政権発足後もそれを継続したいことから上述のようにタリバンを歓迎する動きを見せている。

Text by 和田大樹