パキスタンで中国標的のバス爆発テロか 続く一帯一路への抵抗

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 パキスタンで再び中国権益、中国人を狙ったとみられる爆弾テロ事件が発生した。パキスタン北西部のカイバル・パクトゥンクワ州で14日、中国が進める巨大経済圏構想「一帯一路」に関連するダムの建設現場に向かう中国人ら30人以上が乗るバスが爆発して谷に落下し、これまでに少なくとも中国人9人を含む13人が死亡した。現在までに犯行声明は出てない。中国外務省は同事件を非難する声明を出し、パキスタン当局に徹底的な調査を要請したという。

◆繰り返される中国権益を狙ったテロ事件
 パキスタンでは中国権益を狙ったこういったテロ事件は今回が初めてではなく、近年は繰り返し発生している。たとえば、西部バルチスタン州の州都クエッタにあるセレナホテルでは今年4月、爆発物を用いたテロ事件があり、少なくとも4人が死亡、11人以上が負傷した。セレナホテルはクエッタにあるホテルのなかでも最高級である。事件後、イスラム過激派組織「パキスタンタリバン運動(TTP)」が犯行声明を出した。中国大使は爆発当時セレナホテルに滞在しておらず無事だったが、同大使を狙ったとの見方が強い。

 2019年5月には、バルチスタン州グワダルにある高級ホテルパールコンチネンタルホテルで武装集団による襲撃事件が発生し、兵士や武装勢力のメンバーら8人が死亡した。事件後、パキスタンからの分離独立を掲げる武装勢力「バルチスタン解放軍(BLA)」が中国人や外国人投資家を狙ったとする犯行声明を出した。また、2018年11月、最大の都市カラチでBLAのメンバーが中国領事館を襲撃し、警察官2人を含む4人が死亡した。事件後、BLAは犯行声明を出し、中国が地元の資源を搾取し続けており、それを停止しない限り攻撃を続けると警告した。

Text by 和田大樹