「弾圧者」中国にジハード組織はどうでるのか 今後の関係を考える

新疆ウイグル自治区カシュガル市の建物|Jonathan_Densford / Shutterstock.com

 アフガニスタンでタリバンが夏に権力を掌握して以降、テロリズム研究の世界では中国とジハード組織(アルカイダやイスラム国)の関係を考える動きが見られる。もちろん、その動きは以前からもあったが、アルカイダなどとの関係が指摘されるタリバンが権力を握り、米軍撤退によって中国が一帯一路を掲げアフガニスタンで影響力を高めようとするなか、両者の関係は必然的に接近している。両者の関係の行方について考えてみたい。

◆欧米ほどではないが標的となる中国
 米国の安全保障政策において、ジハード組織は以前の最優先課題で、中国は今日の最優先課題となり、その両者の関係を考える機会は国際政治のなかでも少ない。しかし、アルカイダやイスラム国のこれまでの声明をみてくると、新疆ウイグル自治区の問題を取り上げるなかで、中国政府への敵意を示すことが何度もあった。

 たとえば、アルカイダの元幹部だったアブヤヒヤ・リビ(12年死亡)は2009年10月、声明の中で新疆ウイグル自治区のイスラム教徒らに対し、中国政府に対するジハード(聖戦)に立ち上がるよう呼び掛ける声明をインターネット上に出した。また、内戦が続くシリアではアルカイダ勢力と関係があるウイグル系勢力が活動しているが、同勢力はたびたび中国への敵意を示している。さらに、最近でも10月上旬、アフガニスタンで活動するイスラム国系組織が北部クンドゥズ州にあるイスラム教シーア派モスクで大規模なテロを実行。事件後に声明を出し、自爆犯はウイグル人であり、タリバンが中国と結託してウイグル族を抑圧しようとしていると発表している。

Text by 和田大樹