「欧米VS中国」の最前線となる台湾海峡

フィリピン海で共同訓練する日米英の軍艦(10月3日)|Gray Gibson / U.S. Navy via AP

◆欧米VS中国の最前線となる台湾海峡、東アジア
 そして、台湾海峡とその周辺の安全保障環境をみると、同地域は欧米VS中国の最前線となりつつある。近年、英国やフランス、ドイツなど欧州諸国もインド太平洋への関与を強める姿勢を示しており、5月にはフランス軍が九州で自衛隊と合同訓練を実施し、8月にはドイツ軍のフリゲート艦バイエルンがインド太平洋に向けて出港し、9月には英国の最新空母クイーンエリザベスが日本に寄港するなど、同地域では米国、欧州、カナダ、オーストラリア、そしてクアッドを考慮すればインドなど関与する国家の数が劇的に増えている。

◆中国の行動をどう抑止するか
 こういった動きが顕著になっても、中国は依然として強硬な態度を維持している。習近平国家主席も10月9日、辛亥革命110周年記念大会で演説し、台湾統一は必ず達成しなければならないと改めて強い意志を示した。当然ながら、誰もこの地域一帯での戦争は望んでおらず、軍事的手段はできるだけ避けたい。しかし、偶発的衝突が発生する可能性はあり、中国に軍事力を使用させないためにいかに欧米や日本が抑止力を高めることができるかがポイントとなる。そのためにも、欧米や日本の間で中国側に政治的な隙を与えない、見せないことが重要となる。

【関連記事】
「中国が6年以内に侵攻」台湾有事と日本の安全保障
ワクチン外交で台湾潰しの可能性も 中台対立のもう一つの側面
「戦争準備に集中せよ」習近平の発言はさらにエスカレートするか

Text by 和田大樹