ポスト菅の外交・安全保障の行方は?

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 現在、ポスト菅をめぐる競争が激しくなっている。河野太郎行政改革相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行の4人が立候補し、新型コロナや経済、社会保障などさまざまなテーマで論争を繰り広げている。メディアの調査では、野田氏が劣勢だとの報道は目立つものの、残りの3人をめぐっては誰が優勢、劣勢かははっきりしないところだ。では、ポスト菅の外交安全保障はどう展開されていくのだろうか。本稿では、誰がなったらこうなるかではなく、日本を取り巻く国際情勢に照らし、誰がなってもこうなるという視点から考えてみたい。

◆日本を取り巻く今日の国際情勢
 簡単に、日本を取り巻く今日の国際情勢を書いてみたい。周知のように、トランプ政権からバイデン政権になっても米中対立が続いている。そして、バイデン政権になってからは「協力」が重視されるようになり、同政権は対中国において日本やオーストラリア、インド、また英国やフランスなどの欧州との協力を加速させている。日米豪印によるクアッド(QUAD)、米英豪によるオーカス(AUKUS)などは象徴的なもので、バイデン政権はインド太平洋において多国間協力を非常に重視している。

 一方、経済力や軍事力において米中は年々拮抗してきており、米国の内向き化や世界の警察官からの撤退も顕著になり、バイデン政権もインド太平洋に位置する同盟国や友好国の役割の拡大を強く求めている。もっと言えば、米国一国では中国の海洋進出には対処することは難しいので、日本はこれまで以上に主体的役割を負うべきだとバイデン政権は思っているかもしれない。

Text by 和田大樹