文政権が抱えるジレンマ 米国との間に認識のズレ 米韓2プラス2

米国務・国防長官の来韓に対し反対集会を行う人々(ソウル、3月18日)|Ahn Young-joon / AP Photo

◆米韓の日韓関係における認識のズレ
 また、日韓関係においても認識のズレは解消されていない。バイデン政権は対中国や対北朝鮮で一体となった日米韓関係を望んでいるが、内心、歴史認識などでぎくしゃくする日韓関係を懸念している。これはオバマ政権のときにも言われていたことだが、バイデン政権としては、「二国間で摩擦があるのは理解できるが、米国の同盟国同士だから上手くやってくれ」「中国の脅威があるのに日韓で揉めている場合ではない」などの気持ちがあるのだろう。一方、文政権としては日米韓協力と日韓関係は別物との無意識のうちの認識があるのだろう(これは日本も同じかもしれないが)。

◆次に難題になるのはクアッド?
 一方、認識のズレがある米韓両国だが、次に難題になる一つに日米豪印が基軸となるクアッドがある。バイデン政権になってクアッドの動きは加速しているが、韓国は中国との関係からクアッドには参加したくないのが本音であり、実際、このままではしないだろう。

 バイデン政権も嫌がらせのように韓国にクアッド参加を呼びかけることはないだろうが、周辺地域の国家間関係が大きく変わるなか、韓国としても日本やオーストラリア、インドの顔色を窺う機会は増えるかもしれない。クアッドの枠組みが今後さらに固まっていけば、事実上、孤立した韓国の姿が表面化する可能性もある。米韓関係は今後も大きく難題に直面しそうだ。

【関連記事】
米韓関係、さらなる冷え込みも 同盟国を注視するバイデン政権
孤立深める韓国、どこへ向かうのか
日韓関係の悪化を米国はどう見るか?

Text by 和田大樹