バリ島テロの組織が復活か 逮捕者相次ぐ インドネシアのテロ情勢に動き

移送されるJIメンバー(12月16日)|Achmad Ibrahim / AP Photo

◆表面上は対立関係、実態は相互依存の可能性
 国際テロ情勢では、アルカイダとISが対立関係にあると言われる。これまでのイスラム過激派の動向を追ってきて、それに間違いはない。しかし、実際そうとは限らない場合も少なくない。

 JIはアルカイダ系、JADやMITはIS系とは言われるが、実際は明確な区別はなく、ISの台頭以降、JIの一部メンバーが離反してJADなどIS系組織を形成したり、今後、弱体化したIS系組織のメンバーがJIに加わるといったこともあるだろう。JIやIS系組織のなかには個人的関係を持っている戦闘員も多くいるはずだ。
 
◆今後はさらにJIの動向に注意か
 JIはパーム油のプランテーションを経営したり、イスラム教徒のための慈善活動などと偽って各地に寄付金箱を設置するなどして資金調達を行い、慈善団体や孤児院などを隠れ蓑にして新規メンバーのリクルートを行っているという。そして、入手した多額の資金で武器や爆発物を購入し、軍事訓練のため戦闘員をシリアで活動するアルカイダ系組織に派遣しようとしていたとされる。

 専門家の間では、近年JIの再生を警戒する声があがっている。JIは組織ではあるが、参加したい者を拒まないフランチャイズネットワークという面もある。最近、このJIに関する情報がよく筆者に届く。今後はJIの動向に注意が必要だろう。

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Text by 和田大樹