バリ島テロの組織が復活か 逮捕者相次ぐ インドネシアのテロ情勢に動き

移送されるJIメンバー(12月16日)|Achmad Ibrahim / AP Photo

 最近、インドネシア国内のテロ情勢で不穏な動きが続いている。インドネシア国家警察は12月1日、10月初旬からの2ヶ月間で、国際テロ組織「アルカイダ」系の地元組織「ジェマ・イスラミア(JI)」のメンバー計24人をジャカルタ首都圏など各地で逮捕したと発表した。一方、今年に入っての逮捕者は30人以上との報告もある。

◆ジェマ・イスラミアとは
 JIは、202人が犠牲となったバリ島爆弾テロ事件(2002年10月、日本人2人死亡)、ジャカルタ・オーストラリア大使館爆破テロ事件(2004年9月)やジャカルタ・ホテル爆破テロ事件(2009年7月)など、過去に欧米権益を狙ったテロを繰り返してきたが、2011年4月に発生した西ジャワ州チレボンにある警察署内モスクでの自爆テロ事件を最後にテロ事件は起こしていない。インドネシアの対テロ特殊部隊による摘発・掃討によって、JIは多くの幹部が殺害・逮捕され、組織としては弱体化していった。だが、今回の逮捕によって、JIが依然として密かに活動を続けていることが明らかとなった。

◆過去10年はIS系組織のテロ続く
 この10年間、JIの活動はほとんど聞かれなかったと言っていいだろう。インドネシアのテロ情勢で注意されてきたのは、とくに2014年以降、イスラム国(IS)を支持する地元のイスラム過激派「ジャマー・アンシャルット・ダウラ(JAD)」や「東インドネシアのムジャヒディン(MIT)」などだ。ジャカルタでは2016年1月にIS系の武装集団による襲撃テロが発生し、カナダ人など数人の民間人が犠牲となった。JADやMITなどはJIほど大きなテロを実行できる組織力や財政力はないとみられるが、警察署や教会への襲撃など小規模なテロを続けている。

Text by 和田大樹