新型肺炎で中国の対日感情に変化? 報じられる日本の支援、SNSなどで反響

Noel Celis / Pool Photo via AP

 新型コロナウイルスの被害は拡大しており、発生元となった中国国内での死者数は3000名を超えた。現在日本から草の根レベルの支援が行われているが、これらが中国のSNSで急速に拡散され、中国ユーザーから感謝の声が絶えない。政治・経済の状況も相まって、歴史問題を抱えた二国間のあつれきは、ウイルス騒動を契機に大きく改善するのではないかとの認識が拡がりつつある。

♦︎支援物資
 中国での惨状が報じられると、日本からは草の根レベルで複数の支援が行われるようになった。米CNN(2月26日)は、国内のSNSでも話題となった支援物資の一件を報じている。新宿に拠点を置く日本青少年育成協会が、中国の湖北高校に向けてマスクと体温計を送ったもので、段ボール箱の側面に書かれた「山川異域 風月同天」の漢詩が現地で注目を集めていた。「暮らす場所こそ違えど、私たちは同じ空の下にいる」を意味するこのメッセージは、約1300年前の漢詩に由来する粋なエールとして中国で話題を呼んだ。

 自治体の貢献にも反響が相次ぐ。日本の地方自治体がマスクや防護服などを中国に送ったというニュースは、現地のSNSでこれまでに数百万回シェアされた。香港のサウスチャイナ・モーニングポスト(2月18日、以下SCMP)は深センに住む女性のコメントとして、「紛れもなく善意を感じた」「日本の政府や人々が中国を助けるために迅速で前向きなアクションを取ったという記事は定期的に出ており、よく目にする」と述べている。北海道に住む中華系の女性は、日本人は幾多の自然災害に見舞われており、困難な状況にある他者への強い共感性がそこから育まれたのではないか、と述べる。

 日本国内でもマスク不足などが続くことから、支援物資の海外への送付には反対の声も根強い。しかし少なくとも、困難な状況のなかで支援を続けているという点は海外にも伝わっているようだ。AFPは、オリンピックを控えた日本がクルーズ船のほかに多数の感染者を抱えており、そのうえで支援したと伝えている。中国のネットユーザーも日本人の状況を憂慮しており、SNSには支援への謝意とともに、日本の状況を気づかうメッセージが多数書き込まれている。

 現地中国でも、中国国営の人民日報が刊行する英字紙のグローバル・タイムズなどが、隣国・日本からの支援を報じている。すでに中国メディアによる報道やSNS上の拡散などで広く知られるようになった個々の事前活動をまとめて振り返る内容だ。日本のバレエ団が中国国歌を歌い、ウイルスと闘う中国の人々を励ました一件や、チャイナ服を着て武漢への募金活動を行う少女の様子など数々の事例を紹介している。同紙はこれまで日本に対し批判的な報道姿勢を示してきたが、今回の一件に限っては非常に好意的な論調の記事となっている。

Text by 青葉やまと

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