「日韓問題」にしてはならない日韓GSOMIA

日韓GSOMIA破棄に反対する韓国の人々(11月22日)|Lee Jin-man / AP Photo

◆日韓問題化されるGSOMIA
 では、一連の問題の原因はどこにあるのか。本来、GSOMIAは安全保障上の問題であり、安全保障問題と日韓関係の問題は別次元で議論されなければならない。8月に韓国がGSOMIA破棄を表明してからも、日本と米国はGSOMIAを安全保障問題として扱ってきたが、韓国はそれを日韓関係のなかで扱い、3ヶ国の間に大きな認識のギャップが生じてきた。

 日韓GSOMIAを延長、破棄するかは国家としての韓国に決定権があり、日本や米国が過剰に介入できることではない。その決定は当然、韓国の安全保障の行方にも直結しているのだが、文在寅政権は現在、2020年代、そして2030年代の極東アジアの安全保障の行方をどう見ており、どこまで本気で考えているのだろうか。

 すでに日本や韓国が位置する我々の極東アジアは、米中2大国の勢力圏の最前線になっており、そのため不安定な安全保障環境に陥りやすい地域でもある。日韓GSOMIAは、韓国の平和と安全保障を維持するためにも有益なものであり、本来であれば、日本と同じく米勢力圏にある文在寅政権は、GSOMIAを対日カードにしてはならないはずである。

◆文在寅政権の対日姿勢は転換するか?
 では、今回の破棄撤回によって、文在寅政権の対日姿勢は転換するのか。おそらくいまの状態が続くことだろう。今回、文在寅政権が示したのはあくまでも「消極的撤回」であり、「積極的撤回」ではない。文在寅政権としては、今回の件で日本からも何かしらの譲歩を引き出したい思惑もあるだろうが、日本は既存の姿勢を貫くべきだろう。

 だが、消極的撤回と失効は政治的にどう違うのかも今後を考えると懸念が残る。中国や北朝鮮が、消極的撤回を事実上の失効と捉える可能性もあり(すでにそう見ているかもしれない)、韓国の意思というものが今後より重要になってくる。

Text by 和田大樹