技術革新と戦争(1) 舞台はサイバー、宇宙へ ドローン、AIの活用

ホワイトハウスで8月29日に行われた米宇宙軍の発足式典|The White House / Wikimedia Commons

 筆者は去年、同じ学会で活躍する学者の仲間たちと、『「技術」が変える戦争と平和』という専門書を公刊した。内容はタイトルどおり、今日のデジタル時代においていかに戦争の態様が変わったのか、また今後どう変わっていく可能性があるのかをテーマごと(筆者はテロ分野を担当)に取り上げている。

◆人間が用いる武器も変化してきた
 誰もが日本史や世界史を学んできたが、その初めの章で見られるように、人間が争うときに用いる武器は、石や木、また石器などだった。我々人間は、自然に手に入る物も用いることで文明を築いてきた。

 そして、時代が流れるなかで日本でも戦いの際に鋭利な刀(日本刀など)が用いられるようになり、戦国時代にポルトガルから伝来した鉄砲は、戦いの態様を大きく変容させることになった。さらに、20世紀に入り、我々が第1次、第2次世界大戦を経験するなか、「核」が大きな衝撃を与え、その後の米ソ冷戦はまさに核をめぐる大国の争いだった。

◆新たな戦略空間 サイバーと宇宙
 戦争とは、国家と国家が武力で争い合うことだ。もっとわかりやすく言うと、双方の軍隊が戦車や艦隊、戦闘機などを用いて越境するなどして衝突することだが、これまでその舞台は、陸、海、空だった。どの軍隊も、陸軍、海軍、空軍(日本の場合は陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊)を持ち、自国の領土保全と政治的独立を守ってきた。

 しかし、時代は変わり、技術革新が進むなか、第4、第5の戦略空間の重要性が増している。領土と領海、領空に次ぐ第4、第5の空間とは、「サイバー」と「宇宙」だ。近年のIT革命や軍事技術の発展というものは、国家同士が争う空間を新たに提供している。

Text by 和田大樹