グリーンランド購入のメリットは? 「無理だけどアリ」の理由

Linda Kastrup / Ritzau Scanpix via AP

 トランプ米大統領がグリーンランド購入構想を認め、話題になっている。グリーンランドはデンマークの自治領だが、デンマーク政府は売却の意思はないと表明。ネット上でも、無謀な考えだと批判も多い。しかし、グリーンランド購入で得られるアメリカの利益は大きいとし、トランプ大統領のアイデアに肯定的な意見も出ている。

◆最初ではない 消えては浮かぶ、購入構想
 グリーンランドはデンマークの旧植民地だが、現在はデンマーク領で独自の自治権が認められている。大きさはアラスカ州とカリフォルニア州を合わせたぐらいで、人口は約5万6000人ほどだ。

 実はグリーンランド購入を考えたのは、トランプ大統領が初めてではなく、構想は1860年代からあったという。アメリカは1800年代にフランスからルイジアナを、ロシアからアラスカを買収した。グリーンランドを獲得することで、カナダを自国領で取り囲み、アメリカ合衆国に参加させようという思惑があったとされているが、実現には至らなかった、とブルームバーグのコラムニスト、レオニド・バーシドスキー氏は解説している。

 その後第二次世界大戦が勃発。戦闘機の基地としてのグリーンランドの戦略的価値が高まり、核兵器、ミサイル時代になると、ソ連に近いことでさらに基地としての重要性が認識された。そこでトルーマン大統領が、1946年に1億ドルでグリーンランドを購入することをデンマークに持ちかけたが拒絶された(同上)。

 結局1951年の二国間防衛協定で、アメリカはグリーンランドに基地を置くことになり購入構想は消えた。その後1990年代には大統領候補にもなったパット・ブキャナン氏が、グリーンランドとカナダの一部、メキシコのバハ・カリフォルニア半島を購入して多民族スーパー国家を建設し、国土の広いロシアに対抗するという壮大な計画も打ち出している(AP)。

Text by 山川 真智子