北朝鮮はなぜ戦争孤児6000人を欧州に送ったのか その後の消息も謎

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 1950年から1953年の朝鮮戦争で、10万人以上が戦争孤児になったとされる。北朝鮮では、一部の孤児たちが当時共産圏であった東欧諸国に送られ、現地の孤児院に収容され教育を受けていた。その目的や子供たちの消息は謎に包まれており、朝鮮半島の現代史の新たな犠牲者として近年注目されている。

◆隠れた事実 ポーランド人ジャーナリストが知らしめる
 コリア・タイムズによれば、韓国では1990年代から東欧に送られた北朝鮮孤児についての報道があったという。この話題を最初に深く掘り下げたのは、ポーランド人ジャーナリストのJolanta Krysowata氏で、2006年にドキュメンタリー映画『Kim Ki Dok』を発表した。その後韓国人の映画監督が同様のテーマで映画を製作しており、孤児たちの存在や生活にさらに光が当たることとなった。

 コリア・タイムズは、朝鮮戦争中と休戦後に欧州に送られた孤児は4歳から13歳で、推定6000人近くいたとしている。1951年後半に、当時の北朝鮮の海外広報担当者が、東欧の新聞に戦争孤児受け入れを求める記事を寄稿。これを受けていくつかの東欧諸国が、孤児たちを育て未来のリーダーとして訓練することを申し出たということだ。コリア・ヘラルドによれば、ポーランド、ルーマニア、ハンガリー、チェコスロヴァキア、東ドイツなどが行き先だった。

Text by 山川 真智子