ロシア、極超音速新兵器「アバンガルド」配備へ プーチン氏「迎撃は不可能」

Mikhail Klimentyev / Sputnik, Kremlin Pool Photo via AP

 ロシアのプーチン大統領は26日、音速の20倍で飛行する「極超音速」ミサイルシステムが完成し、来年から実戦配備すると発表した。「アバンガルド」と名付けられたこの新兵器は、アメリカのあらゆるミサイル防衛網を突破できると、プーチン氏は自賛。また、米CNBCはアメリカ政府の情報筋の話として、ロシアが今月10日に別の超音速対艦ミサイルの実験に成功したと報じている。矢継ぎ早に「超兵器」の開発に勤しむロシアは、旧ソ連時代の軍事的優位を取り戻しつつあるのだろうか。

◆プーチン大統領は勝利宣言
「アバンガルド」は同日、ロシア南西部の発射基地から3500マイル(5632キロ)離れたカムチャッカ半島の演習場に向けて発射され、目標エリアに予定通り着弾したという。モスクワの国防省内の管制センターで実験を見守ったプーチン大統領は、「これは我が軍の、ひいては我が国にとって歴史的な出来事だ」「ロシアは今、新時代の戦略兵器を手にした」などと、国内外に向けて実験の成功を高らかに宣言した(ワシントン・ポスト紙=WP)。

「アバンガルド」は全長5mほどのグライダー状の飛行体で、弾道ミサイルで打ち上げられた後、上空で切り離されて水平飛行でマッハ20の速さで目標に向かう。また、翼を持ち、自在に方向を変えることができるとされ、スピードと機動力で既存のあらゆるミサイル防衛網を突破できるとの触れ込みだ。

 プーチン大統領は、来年から前線部隊に実戦配備することを明かし、最大のライバルアメリカを意識して「仮想敵が、現在あるいは将来保有するミサイル防衛網でも攻略できない」と勝利宣言した。さらに、米情報筋によれば、ロシア海軍は「アバンガルド」の発射実験に先立つ今月10日、超音速対艦ミサイル「ジルコン」の5回目の発射実験を行った。最高速度マッハ5で持続的に飛行することに成功し、こちらも2022年までの実戦配備のめどが立ったと報じられている。

Text by 内村 浩介