空母向け含むF35を105機購入へ その裏側に苦渋の決断

出典:航空自衛隊ホームページ

 日本政府は18日、アメリカからF-35戦闘機を105機追加で調達することを閣議決定した。既に導入を決めている42機と合わせて147機となり、米国に次ぐ世界第2位のF-35運用国となる。追加発注分に垂直離着陸型のF-35Bが42機含まれているのも注目だ。これは、空母に改修する計画が同日閣議決定された護衛艦「いずも」で、艦載機として運用することなどを想定したものだ。F-35の大量購入を通じて見えてきたこうした日本の新たな防衛戦略に、海外メディアも注目している。

◆「空母」保有を裏付けるF-35Bの調達
 日本が導入するF-35の内訳は、通常型のF-35Aが既に調達済みの10機を含め105機、垂直離着陸型のF-35Bが42機。合計147機は、空母「クイーン・エリザベス」に搭載するB型を含む138機を導入するイギリスを上回り、米国外では最大のF-35運用国となる。ほかにオーストラリア、韓国など11ヶ国がF-35の導入を計画しており、日本分が優先されない限り追加発注分が自衛隊に届くまでには、3、4年かかると見られる(ハワイ太平洋大学、カール・シュスター教授=CNN)。

 F-35Bは単発のジェットエンジンを下方に向けることにより、小型空母や小規模の空港の短い滑走路からでも短距離・垂直に離着陸できるF-35のバリエーション機で、通常型のF-35よりも2割ほど高価だとされる。米国以外では、イギリス、イタリアが従来の垂直離着陸艦載機、AV-8ハリアーIIの後継機として、空母艦載機に採用する計画だ。

 日本は戦後空母を保有してこなかったが、先の閣議決定で、現在2隻保有するヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」型を飛行甲板の改修などにより事実上の空母(政府呼称は「多用途運用護衛艦」)として運用する計画が了承された。次期防衛大綱骨子案では「必要ならば」改修を行うと但し書きがあるものの、同じタイミングでF-35Bの調達を決めたことからも、既に日本の空母保有計画は動き出していると見ていいだろう。

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Text by 内村 浩介