フランス・ストラスブールの銃乱射テロ 背後にISの存在はあるのか?

CMM via AP

 フランス北東部ストラスブールにあるクリスマス市場で11日夜、地元に住む29歳の男が銃を無差別に乱射し、これまでに5人が死亡、11人が負傷した。男は29歳のシェリフ・シェカット(Cherif Chekatt)容疑者で、犯罪歴があり、過激化する恐れがあるとしてフランス当局の「テロ注意人物リスト」に登録され、以前から監視対象となっていた。

 男は襲撃時、アラビア語で「アラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫んでいたとされ、その後逃亡したが、13日に警察官との銃撃戦の末に射殺された。事件後、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」系のアマック通信が、ISの兵士が実行したとする犯行声明を出した。日本の安倍首相もフランスと事件の犠牲者に哀悼の意を表明し、国際社会と連帯し、断固としてテロと戦う意思を改めて示した。

◆具体的関与を示す根拠はISから示されず
 事件を受け、地元警察は容疑者の両親や兄弟などを一時拘束した。この家族はアルジェリア系とされ、今回の事件について父親は悲痛な思いを伝えた。父親によると、シェリフ・シェカット容疑者は以前からISを支持する言動を繰り返してはいたが、戦闘やテロ攻撃の方法などについてはまったくの素人で、父親も息子に、「ISを忘れろ、彼らが言っていることを聞くな、彼らによる殺害を見るな!」などと日頃から注意していたという。

 容疑者は以前からISを支持していたというが、具体的な接触をしていたのかは明らかになっておらず、また事件後のISによる犯行声明でも、同組織による具体的な関与は示されていない。

Text by 和田大樹