日本製最新鋭潜水艦「おうりゅう」、世界が「リチウムイオン電池」初搭載に注目

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◆武器輸出でリベンジのきっかけになるか
「そうりゅう型」と言えば、オーストラリア海軍への売り込み失敗のニュースが記憶に新しい。安倍政権による武器輸出三原則の見直しにより、日本製の武器の輸出が解禁されたが、なかでも豪海軍の次期主力潜水艦に「そうりゅう型」を推すプロジェクトは、日本政府や国内防衛産業が最も力を入れていた。しかし、当初はフランス、ドイツと入札を競った日本が有利とされていたものの土壇場でフランスに敗れた。

 そうりゅうが敗れた理由は性能差ではなく、日本側が武器輸出ビジネスに不慣れだったためとか、オーストラリアの国内事情が大きかったからと言われている。「おうりゅう」以降の「そうりゅう型」がライバルを性能で大きく上回るとすれば、そうした点を補って余りあるアドバンテージになるかもしれない。ディプロマット誌は、「おうりゅう」の大幅性能向上は、メーカーの「三菱重工と川崎重工の能力の向上でもある」として、今後の日本の武器輸出のリベンジのきっかけになりうるとしている。

 ビジネスインサイダー誌は、「日本は特に、尖閣諸島周辺での中国潜水艦の行動に神経を尖らせている」と、日本の潜水艦戦力の拡大と性能向上の背景に中国の海洋進出があると指摘。また、米トランプ政権の圧力で米国製武器の輸入が大幅に増え、日本の国内防衛産業が窮地に陥っている現状を踏まえ、「潜水艦は日本の重工業の最後の砦だ」とも強調している。

 民生用のリチウムイオン電池技術は、日本発で今や世界を席巻している。潜水艦のような本格的な軍事利用においても、日本発の技術を広めることができるだろうか。それは、今後の「おうりゅう」の実績しだいと言えよう。

Text by 内村 浩介