南太平洋で影響力拡大する中国、豪州が危機感 「約束」通りなら援助額トップに

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 経済力を背景に東南アジア、アフリカなどの発展途上国への影響力を強めている中国が、南太平洋でも勢力を拡大しつつある。これまで、南太平洋諸国に対する経済援助の規模で地理的・歴史的関係の深いオーストラリアがトップに立ち続けていたが、中国がそれを大きく上回りつつあるというデータが発表された。これを受け、オーストラリア国内では、地域大国の地位を中国に奪われるのではないかという懸念が広がっている。

◆オーストラリアの4倍の支援を約束
 豪シンクタンク、ローウィー研究所が8日に発表したデータによれば、中国は、2017年の年間ベースで、パプアニューギニアを中心に南太平洋諸国に約40億ドルの支援を約束した。一方、オーストラリアは、2017-18の年度ベースで、約8億1500万ドルの支援を約束している。

                                                                                                                 

 オーストラリアは、南太平洋諸国最大の人口を抱えるパプアニューギニアを1975年まで委任統治領としていたなど、同地域に対して絶大な影響力を維持してきた。政府開発援助(ODA)などの経済支援でも、長年トップの支出を行ってきた。一方、中国は2014年の時点でオーストラリア、アメリカ、ニュージーランドに次ぐ4位の援助国だったが、2017年に実際に支出された援助金ベースで2位になり、援助の「約束」をした総額では上記のようにオーストラリアの約4倍という突出した額でトップに立った。

 オーストラリアでは保守系政権下の2011年以来、南太平洋諸国へのODAの支出を減らし続けており、アメリカ、EU、同地に植民地を多く持っていたフランスも削減傾向にある。一方、中国は「一帯一路構想」と世界第2位の経済力を背景に南太平洋でも援助を拡大している。国際開発を専門にする豪ディーキン大学のマシュー・クラーク教授は、中国がいずれ南太平洋を援助国として支配することは予想していたが、「これほど急速に現実となったことには驚いている」と、英ガーディアン紙に語っている。

Text by 内村 浩介