ダイヤモンド採掘国のシエラレオネの現地住民が豊かになれない理由とは

Roy Maconachie and Simon Wharf, Author provided

著:Roy Maconachieバース大学, Reader in International Development)

 アフリカ西部の国、シエラレオネでダイヤモンドが見つかったのは1930年代のことだ。それ以降、ダイヤモンドは同国の社会や政治、そして経済に大きな影響を及ぼしてきた。その一因として、ダイヤモンドの採掘方法が関連している。

 アフリカ南部のダイヤモンド採掘国では、機械化の進んだ大企業が河川の深部にある埋蔵量を監視、管理することが多い。しかし、シエラレオネではダイヤモンドが河床の表面近くに点在していることが多く、シャベルとザルがあれば、誰でも採掘することができるのだ。

                                                                                                                 

 この手軽さが、シエラレオネでもダイヤモンドが豊富なコノ地区に多くの移住労働者を呼び寄せている。その多くが、教育を受けていない、失業中の若い独身男性で、彼らは一攫千金を求めて集まっている。世界銀行によると、シエラレオネの雇用主のうち、ダイヤモンド人力採掘部門は農業に次ぐ規模で、30万人から40万人もの人々の生活を支えていると試算されている。

採掘現場の様子(Roy Maconachie and Simon Wharf, Author provided)

 2003年以来、私はコノ地区でダイヤモンド採掘の課題や、搾取と貧困の問題を調査している。最近のプロジェクトでは、アメリカの人権保護財団の資金提供を受け、天然資源管理の課題を明らかにし、収益を持続可能な発展に転換することを目指している。

 シエラレオネでは機械を使わず、またきちんとした規制がないまま人力のダイヤモンド採掘が行われているにもかかわらず、生産構造は厳しく管理され、高度に規則化されている。多くのケースでは、1つの労働者グループが狭い区域で共同作業し、砂利を掘って運び、それを洗う。また、彼らに食料や道具を供給するグループもいるが、ダイヤモンドが見つからなければ、彼らに賃金が支払われることはない。

 採掘者と「支援者」は非常に不公平な関係にあり、シエラレオネのダイヤモンド採掘が、社会的に大きな悪影響を与える懸念が生じている。それは、「借金によって拘束するシステムと現代の奴隷制度」とも表現される。現地のある専門家は、私に「誰もが収益を最大化するためにビジネスをしている。そのために、下にいるものが抑えつけられている」と語った。

 一方で、ダイヤモンド人力採掘業はいまだに地方の地域経済発展を推進する上で、重要な役割を担っている。他の経済活動にとって価値ある開業用資本を提供し、小規模農業を潤すことで、何百何千という人々を支えているのだ。

 しかし全般的に、シエラレオネの豊富な天然資源(金、鉄鉱石、ボーキサイト、ルチルなど)によって国民の生活環境が改善されているか、というと、そうではない。むしろ、真実はその逆だ。

 国連開発計画人間開発指数では、シエラレオネは最下位に位置している。同国は世界最貧国の1つで、社会開発でも大きく後れている。

 長年にわたる内戦で荒廃し、最近ではエボラ出血熱との闘いに見舞われたシエラレオネでは、政治腐敗や収益管理不行き届き、そして不運も相まって経済開発が頓挫している。

 シエラレオネの発展が滞っていることと、ダイヤモンドには明確な関係性がある。小さく輸送しやすく、非常に価値の高いダイヤモンドは、1990年代に起きた悲惨な内戦の大きな資金源となってしまった。そして、同国のダイヤモンド産業の非公式な体質により、地元のコミュニティから関連する経済的利益が搾取されやすい状況ができているのだ。

 ダイヤモンド採掘は、シエラレオネで最も収益性の高い輸出産業の1つで、生産量は年間2500万米ドル相当にのぼる。しかし、ガバナンスが脆弱で腐敗が広がっていることから、採掘地域にはその恩恵がほとんど還元されないのが現状だ。

◆対応が迫られる重要な課題
 国際的なトレーダーが多額の報酬を得る一方、実際にダイヤモンドを採掘する人々は、貧困と苦難という現実と向き合っている。多くの採掘作業は政府の監視が行き届かない、ギニアやリベリアとの国境付近といった遠隔地で行われている。

 ダイヤモンド人力採掘業が無秩序な体質にあるということは、多くのダイヤモンド掘削業者が買い手と仲買人による搾取関係に終始するということだ。彼らは貧困と借金のループにとらわれることになる。このような搾取に対処するため、そしてサプライチェーンの最下部にいる未登録の採掘者やその家族に権利を与えるため、いくばくかの取り組みは実施されているものの、すべきことはまだある。この分野をより持続可能なものにするためのカギは、その形式を整えること、そして地元のガバナンスを改善していくことだと主張する者もいる

 しかし、いまだに採掘作業の多くは非公式に行われている。この分野の現状を作っているのは、多くの既得権益者だ。非公式で無秩序な今の状況から恩恵を受けるものがあまりにも多い。

採掘されたものが、あなたの元に届く(Roy Maconachie and Simon Wharf, Author provided)

 シエラレオネ政府と政策立案者がダイヤモンド採掘における貧困と不平等を解消したいのであれば、この採掘業界の現実をより深く理解する必要がある。

 人力採掘は今後長きにわたり、シエラレオネの主要産業であり続けるだろう。しかし、それは常に搾取と貧困という性質をもつ産業だ。

 地方レベルのガバナンスの課題を解消すること、そしてダイヤモンドの管理や意思決定にはたらく権力にどう対処するか、ということが重要だ。すべてが始まる場所、つまりダイヤモンドが採掘される地域に、より多くの恩恵をしっかりと残していくためには、それが唯一の方法なのだ。

This article was originally published on The Conversation. Read the original article.
Translated by isshi via Conyac

The Conversation

Text by The Conversation

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