中国は豊かになっても民主化せず 読み間違えた西側、迫られる方針転換

Andy Wong / AP Photo

 中国では国家主席の任期を2期10年に定めた規定が削除され、習近平主席による終身政権が可能となった。事実上の個人独裁体制となる見込みで、これまで「中国はいつか民主化する」という想定のもと対中政策を決めてきたアメリカをはじめとする西側諸国は方針転換を迫られている。

◆豊かになれば中国は民主化する。西側が描き続けたシナリオ
 フォーリン・アフェアーズ誌(FA)は、ニクソン大統領以来、「通商的、外交的、文化的つながりを深めることで、中国の内部における成長と外部へのふるまいを一変させることができる」というのが、アメリカの対中戦略の根底となってきたと述べる。欧州の外交専門誌、モダン・ディプロマシー誌も、中国を西側が指揮するリベラルな国際システムに招き入れることで、最終的には自由民主主義に転換させ、責任あるステークホルダー(利害関係者)にすることを目論んできたと述べている。

 エコノミスト誌によれば、ソ連崩壊後、アメリカを中心とする西側陣営は中国を世界の貿易秩序に迎え入れようとし、世界貿易機関(WTO)などの国際機関に加盟させることで、市場経済への移行を促した。その理由を、経済が豊かになることで、国民が民主的自由、権利、法の支配を求めると読んだからだとしている。

Text by 山川 真智子