いずも空母化、F-35B導入検討 「戦後最大の危機」に備える日本

出典:海上自衛隊ホームページ

◆差が開き続ける潜水艦戦力
 米ビジネスニュースサイト『ビジネス・インサイダー』は、特に中国の潜水艦戦力を日本の脅威に挙げている。米国防総省の調査によれば、中国は2002年以降、10隻の原子力潜水艦を建造。通常型潜水艦は54隻を保有し、このうち48隻が稼働中と見られている。日本は、先日就役したばかりの「そうりゅう」型9番艦「せいりゅう」を加え、通常型のみの20隻(うち練習艦2隻)で対抗する。

 米シンクタンク、国際戦略研究所の分析では、中国は2020年までに70隻まで潜水艦を増やすとみられる。原子力潜水艦は現状維持で、より安価な通常型潜水艦を20隻ほど追加する戦略のようだ。日本は、2021年までに2隻の追加にとどまる予定で、日中潜水艦戦力の差はますます開くことになるだろう。アメリカは50隻の原子力潜水艦を保有するが、多くは老朽化している。ハリー・ハリス米太平洋軍司令官は、「平時の要求を満たすのに必要な半数しかない」と嘆いている(ビジネス・インサイダー)。

 中国の潜水艦は、数だけでなく、活動範囲も広げている。2016年には、原子力潜水艦がパキスタンのカラチ港に寄港。南アジアの港に中国の原子力潜水艦が姿を現したのはこれが初めてで、その後、現在も続くインド洋での定期パトロール活動につながった。その翌年には、マレーシアと領有権を争う港に通常型潜水艦が寄港。日本にとっては、今年1月に尖閣諸島の接続水域で中国原潜がキャッチされた件が、防衛関係者に大きな衝撃を与えた。

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Text by 内村 浩介